詩との契約
カナシミルク

世の限りにおいて
たとえこの身を呪えども如何に他者を呪うことなどできようか
永遠の屹立 その美しさよ

愛はただそこにあるもの
その眼差しの重さよ 疑う由もなく
この身がやかれ灰になったとしても忘れることもなし

しかし知ることの善悪の彼岸のうちに別れの季節も訪れよう
それでも短い我が身の一生の役割となれば
孤独にも耐えうると云うもの
称えるべきは未来の子等

あぁわたしは子と云ったのか
いつか思い描いたわたしの子はもう名前を忘れてしまった
神の雷のうちに砕かれたわたしの子
わたしのうちに永遠はない

しかし何を悲観することがあるものか
たとえ他人の子と言えどもわたしの子であることには変わりない
自らの幸福など願えるわけもない この罪深い身に
ただ共にこの不幸を分かち合うものの無さに
わたしの心は砕かれていく

絶望 呼んだのは誰?
それがわたしの名
希望 呼んだのは?
君の名よ!

選ばれしもののうちに幸福よ 訪れよ
呪われるのはわたしだけで十分ではないか
他人の不幸を望まぬのならわたしは独り
呪われた運命でさえ弱きを助ける杭になろう

祝福よ
望まれしものの美しさを伝えたまえ
望まれないものの身を消し去るがいい

わたしの望みは尽きていく
望まれるべくもなく消えていった幾千の友よ
道端で眠り蛆の湧いた盗人たちよ
わたしはあなたに違いない

いつかすれ違った魂たちのうちに
わたしの姿が重なっていく
泣きながら消えていった幾千の詩情よ
わたしがつないでいこう
独りの泣き虫として

しかしそれでもわが身を思わない日はない
十代の頃に出会った子等が
今は十代を迎えている
その連環の中に蹲る我が生涯を思わない日はない!

遠く星々の中に幸福よあれ
わたしの父よ母よ わたしは不孝者
あなたたちの望むらく幸福は
永遠にわたしから失われる

去りたまえ我が物思いよ
一つの機械となり死んでしまえ
思い上がりの中に住処などあっただろうか
悪魔が心の弱き者を助けるのであれば
わたしは悪魔になろう
すでに呪われたこの身なれば嘘なぞ存在しまい

真実のみが人々を助ける契約をわたしは果そう
このまま
我が弱き心ここに葬り去られれば
もはや行方もなく


自由詩 詩との契約 Copyright カナシミルク 2009-12-06 00:53:01
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