花葬送
滝沢勇一

人はいつか死ぬけど死ぬから死ぬ時はみんないるから安心、安心。

真夜中のNHKで黒い鵜がとろとろの黒い海に沈んでた

思い出は記憶になった穏やかに健やかに失われ、損なった。

なにひとつできなかったあおぞらのぞらのきれいなきれいな下で

公園に花がいっぱい咲いていた。
それでとっても悲しくなった。
雪の降るシロツメクサを真夜中に摘んで何もかも忘れたい

花葬送、花葬送をしてよって言ってたかあさんが昨日死んだ



思考停止思考停止思考停止速攻で終われ俺の人生



あくまでも独り言の範疇で祈りを捧げる、助けてください。

ぬかるんだ歩道アスファルト踏みつけて念ずるち、遅刻はだめだ、だっだめだ

人生の査定結果は「ゼロ。但し労働者には賃金は出る。」

羽虫が蛍光灯に群がってもうあんまり光は見えない

「誰だって濁って汚いとこがある」呟く乞食の言葉はきれい

職安でもらったパン、マーガリン、ミルク、ジャム。上野の空は今日も快晴。

見上げてもネオン眩しくて下向いて歩く夜空は満天の星
星めぐり巡るぐるぐる僕は独りだけど笑ったよ
「ね、カンパネルラ。」

そうだ、世界は敵だった。殺られる前かたっぱしから殺れ

空っぽの水拳銃を握り締め敵を探した夏の夕暮れ

青空に夕闇カラスが飛んでいて目に染みついた黒は闇色

誰かいるみたいにひとりでつぶやいて夕方、銀河鉄道の夜

星の降る夜だと思った。
おおぶりの布団をかぶって、
一人で寝ました。

山にいるメリーメリールー昨日泣いてた「あまりにも月が恐いの」


黒い鵜が、濡れた鵜飼いに放たれてとぷんと海に沈んで溶けた。

人はいつか死ぬけど死ぬから死ぬ時もひとりぼっちで安心、安心。



妄想を増幅させろシャングリラ。つらくてもつらくてもつらくても生きる



短歌 花葬送 Copyright 滝沢勇一 2009-12-02 19:25:54
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