引越し
森未
荷造りをしようとものをどかしたら
なにがあったかわかるみたいにホコリが積もっていた
まんまるのホコリの輪
「たしかに君はここにあったんだよ」
鉛筆立てに向かってわたしはそんなことを言ってみる
返事はないが聞こえた気がする
そういえばこの家には長く住んだから、
わたしの周りにもたくさんホコリが積もっているみたい
片付けてしまうには、時間がかかりそうだけど
ふう、と息を吹きかけたらとんでいってしまいそうだな
わたしはしばらく鉛筆立てのホコリを見ていた
自由詩
引越し
Copyright
森未
2009-12-01 18:30:34