トビウオのように生きたいとおもう
タマムシ

上手に息ができないとしても

あの海のように世界はひどくしょっぱくて
ひりひりと小さな傷や大きな悲しみにしみてくる

だからというわけでもないけれど

そう たとえば空を飛ぶ自分を想像してみたい
両手を水平にして風をとらえる刹那を抱きしめ
そう 呼吸を忘れてもいいくらいの自由を求め
水面下から見上げていた青に向かって飛び出す

空気って軽いからわたしをいつまでも支えられない
落下する衝撃をおそれていたらいつまでも変わらない

ふたつがつりあわないからこそ必要な勇気

たとえば泣きたいくらいの悲しみや
たとえば泣きたいくらいの喜びを

たとえば
そう この世界では涙は海と同じような味がするから
誰も気づかないような淋しさをふりきって

あの青がにじむ景色の中で
キラリと光ってみせるんだ

  


自由詩 トビウオのように生きたいとおもう Copyright タマムシ 2009-12-01 01:59:49
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