真空フラスコとティンカー・ベル
umineko

ほら
こうして
鈴をつるしたフラスコの
空気をだんだん抜いていく
鈴の音はやがて
震えるだけの記号となって       

あのフラスコにわたしは
どうしても
ティンカー・ベルを入れたいんだ
あの妖精が
か弱くはばたきながら
何かを必死で訴えるのを
わたしは
悲しそうな目で
静かに首を振るんだ

世界は
真空なんだよ

ティンカー・ベル
   
  


自由詩 真空フラスコとティンカー・ベル Copyright umineko 2004-09-20 00:43:05
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