最後の人類が笑った日
嘘而



「冥王星が死にました。」
炭酸ジュースに入れられた少女は、僕を見てそう言った。


不透明な観覧車にのって
星と廃棄物に包まれた
この街を、見る。
2秒間だけ目を瞑り、
世界の悲鳴を、聴く。
(やがて水になる・やがて空になる)
君の体と、僕の心臓

コンクリートの冷たさを感じながら
ビーカーに注がれた
約0.5ℓの腐水を、
透明なガラス棒でかき混ぜる。
(真っ白いよね・うんそうね)
なんて
意味のない会話がきこえてきた。


「冥王星の死体は、下水道にでも流してあげて下さい。」
炭酸ジュースの中で溺死した少女は、僕を見てそう言った。


脳と肺が、ゆっくりと溶ける。
世界の果てを目指しながら
僕は、歩く。
今この瞬間、
明日にはもう忘れているのだから
いっそのこと、愛のない恋をしよう。
無重力の世界で
君とキスがしたいのだ。


自由詩 最後の人類が笑った日 Copyright 嘘而 2009-11-28 13:22:36
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