11月19日
とんぼ

朝から肌を切るような寒さだった
だけど空はいつもよりずっと水色を豊かにしていたし
風は空気の1番すてきなところだけを選んで運んでいるみたいに気持ちいいにおいがした
今日が晴れでよかった、と私は満足して
彼女のとなりに座るあなたのことを想う

今日になったばかりの真夜中に
彼女からお祝いのキスをもらうあなたのことを想った
昨日は一段と星が見える夜だったから
あなたがふと見上げたかもしれない星を
わたしは見逃してしまわないように、空中全部、全部みた
夜空中の星を数え終わっても、まだ朝はこない

降れ、降れ、流れ星

お誕生日おめでとう、と
頭の中で何度も何度も、何度もつぶやく
自転車のペダルをこぎながら
本にしおりを挟みながら

お誕生日おめでとう
どうか幸せでいてください
もっともっと幸せでいてください

あなたの隣にいるはずの彼女に向けて、
どうか、
幸せにしてあげていてください、ずっと
祈りながら、わたしは息をひとつ飲み込む

お誕生日おめでとう
聞えましたか?

わたしが呼吸を我慢する数だけ
あなたが幸せになりますように


自由詩 11月19日 Copyright とんぼ 2009-11-19 21:21:44
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