静かな朝
はらだよしひろ

小さな鳥
青空は狭くて
泣き声は飛ぶ

都会の喧騒が過ぎ去った朝は
いつも汚い


それは満員電車の人だかりに
揉まれるばかりではない

空ろとけだるさと真新しい光が混ざる朝は
ビルとビルの狭間から流れる休息を
タバコの火に押し付けて
僕は歩く

昨日はどれぐらい飲んだのか

疲れた でも疲れてはいけない

飲む 飲んでも 飲んでも
幸せは来たのだろうかと疑問に思うことさえ
億劫だ

僕は幸せだ と思うことにする

ブッシュが正義の戦いを標榜し
小泉が「テロとの戦いに屈してはいけない」と格好をつけても
それは所詮イラクの話で

スーダンで3万〜5万人規模の虐殺が起きても
さあ、ブッシュさん小泉さん
今こそあなたたちの愛と先制攻撃路線が
いかんなく発揮される場所があります!
という日本人は誰もいなかった

教えられないものに感情も意見も考えも生まれない
平和は与えられた画像を見て唱える
殺戮、戦争、虐殺、
僕の周りでこんなことは起こっていない
だから僕は平和の中にはいないし、幸せも海の向こうだ

朝の光がまぶしい
今日は一日中快晴だと天気予報が言っていた
僕は幸せだ と思うことにする
飲んでも飲んでも疲れる夜が毎日
働く男は平和さえないこの日本で
生きる


自由詩 静かな朝 Copyright はらだよしひろ 2004-09-18 23:32:50
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