音叉
ogawa hana


通用しないんです

燕尾の服 の  おきゃくさま 萌えた茎に 
毒を塗る

ドレミの人差し指が たちどまる しゅんかんに
くったりとした 花を さしだされ
五億人が なぞるであろう
王道な あしあとを
あたしもゆくのだろうか とたずねる

「あなたもいずれドレミをあきらめ別の花をもとめるはずだ」
いわれてみれば くったりとした花に生気はなく
あたしは黒鍵に欲情しておわった

えんびふくの 彼の時間は 波うって はがれおちた



それから年月をかさね
未だ
玉響に きこえる 海の底のような 歌
そういうときはきまって
どんなにだれかにあいされているときでも
そういうときはきまって
肩をだして
ベランダで
アルペジオが弾けない自分を白日に曝す
つまり
あたしはここでもまだバイエルだった




自由詩 音叉 Copyright ogawa hana 2009-11-19 09:35:12
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