宵の記憶
ogawa hana



窓の外は真っ暗で、では部屋の中はどうかというと、これまた深淵のような、重力が不自然に働いているような錯覚がおきる場所だった
だからテレビが一日中つきっぱなしで、わたしの視野がますます狭くなるのを確認しに小人が、わたしが眠る前にいそいそとやってきて、3本の電話線をひっこぬいてはケタケタ笑う。でも、今時時代は携帯だから、電話線がなくても通話できます、小人たちに教えてあげたい。そして、その電話線でわたしの首をしめたほうがはやいです


昔あそんでいたあの子の体がひんやりと冷たくて、相性は性格よりも好みよりも体温なんだなと思わずにはいられなかった。広げた敷物の上で「おかえりなさいあなた、きょうのごはんはハンバーグですよ」と泥団子を手渡す。楽しかったしあの子は好きだったけど、砂の上での食事はざらついていて食べれるものではなかった。


そしてわたしはここで、毎日のように沼で泳ぐか塩素プールで泳ぐか選択を迫られるのだけれど 中途半端に開いたドアが雪を吐き出すので それどころではない。まるい木の椅子にむりやり体をのっけて、膝を抱えて寒さを凌ぐ。わたしはなんて自由だろう
教えてあげます。知れば知るほど、わたしがちいさくなっていく恐怖
窓の外などみたくないしオーロラも虹も知ってます
新札や地平線など必要ないのです
知ってます
貧困すること・自問すること・愛すること
これらすべてをやめることすらも、
すぐに出来る
って




自由詩 宵の記憶 Copyright ogawa hana 2009-11-19 08:48:15
notebook Home