霜月の窓から洩れて
あぐり





そんな言葉には
騙されないよという彼がいて
だから私は
ああ
こんな言葉では
信じてもらえないのだなと笑って
求められているのは
私の本質だろうか
生き方だろうか
もしかして
全部だろうかと風呂場で思い至り
愛してると
好き

ちょうど間、綺麗に折れる線の
その上に乗っている優秀な言葉を探していた

疑えば
なにもかも
楽になるんだろうか
信じれば
なにもかも
輝くんだろうか
繋ぐお互いの真ん中にある親密な沈黙を
愛していたら
駄目なんだろうか

人といたら
自分なんかどうでもよくなって
きみといたら
自分を大事にしたいと思って
それいじょうに
蔑ろにしているきみの香るような青さを
抱いて眠りたいなと
ぼんやり雨にうたれて考える

かなしくないよ
なんにもないよ
ずぅっとずぅっと
くぃるくぃると鳴いてる私の部屋の灯りだけが
なんだかとても
淋しそうだ






自由詩 霜月の窓から洩れて Copyright あぐり 2009-11-18 23:47:16
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