私の住む村
朧月

だれでもよかった
私を連れ出してくれるなら
暗い山奥の村から

しわしわの年寄りになりたくなかった
自然の恵みを貪り食う
老人が仙人みたいな口をきくのに耐えられなかった

年寄りの年寄りが山賊だったとかそんなことどうでもいい
大昔には庄屋だったとかしょうゆやだったとかそんなものは

噂話を茶菓子にしている縁側を
通らねば通えない小学校に火をつける夢をみた

なんで鉄筋になったんだ
そのうえなんで廃校になってるんだ

夢の後
なら どんなにいいだろうね

ねえ
おじいちゃんおばあちゃん

むかしむかしここにあったものはどうなったの?

この村にはもう子供はいないのに
子供だった私はいつまで泣いているんだろう

短い昼間の太陽を
仰ぎ見てここが私の住む村



自由詩 私の住む村 Copyright 朧月 2009-11-15 20:28:26
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