さざなみと戦慄
瀬崎 虎彦

今年最後の海を
あなたと見られたらよかったのに
秋が死んでいく
波音にはさまれて一秒ごとに

振り返るばかりの悲しい日々を
忘れるのに何年もかかるだろう
人と人が出会いそして別れるという
その重さに気がつけば季節はいつも冬

みなしごのようなあなたと
デラシネのようなわたしが
しあわせになれるはずはなかった

太陽が沈み無音のまま場面は
はるか遠い未来に投げ出される
あなたの不在に僕は戦慄する


自由詩 さざなみと戦慄 Copyright 瀬崎 虎彦 2009-11-13 14:30:57
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