ウーさんとサーさんとンーさんとクーさんとサーさんとイーさん
ヨルノテガム







ウーさんとサーさんが 
小声で話をして 叩き合ってわらっているね

不幸そうなンーさんが近づいて耳をそばだてているよ

眼光鋭い 腐りかけのクーさんが
ウーさんとサーさんの間を割って入って
にらみながら通り過ぎる

サーさんの弟がサーさんを呼びに来る

イーさんはクーさんの子分なので
クーさんの通った道を追いかけていった

ウーさんとサーさんは子供のように叩き合って
こちょこちょまでし合って わらっているね

不幸せそうなンーさんが ニヤリとしても
まだその楽しさをわかりかねている、よ

クーさんがイーさんを引き連れて こちらへ帰ってくる

サーさんの弟が
サーさんに耳打ちしたかと思うと サーさんが声を出した

「仕事が入ったよ」

それまで体を揺らしていたウーさんも、
ニヤツき始めたンーさんも
他のクーさんもイーさんも そしてサーさん兄弟も
皆、潮が引いた後の貝殻のように むっくり肩をまるめて
向こうに歩き出して

眼光鋭いクーさんだけが 立ち止まりながら
タバコの火を点けて 汽関車のような煙を吐き出すと
すぐにそれを 踏みにじって捨てたのを よく憶えている

彼等の誰かとキャッチボールした気がしたんだけど

もう

それっきりの日だったね

















自由詩 ウーさんとサーさんとンーさんとクーさんとサーさんとイーさん Copyright ヨルノテガム 2009-11-11 11:13:23
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