やみを抱き合う
かんな


忘れていることがある
いつも夕暮れ時におもい出すこと
夜を歩けば
やみが足にまとわりついて
わたしを放さない

やみに触れる
手のひらはあたたかい
なぜだか知らない
知らないということが少しあたたかい
そう気づいている

おもい出していることがある
いつも夕暮れ時に忘れてしまうこと
なぜだかかなしい
忘れてしまうことがかなしいのか知らない
やみはきっとそれを知っている

やみを抱く
両腕はそれほど大きくない
わたしは小さなやみしか抱けない
大きなやみを抱くあなたに触れてみるけれど
ふたりで抱き合うことはできない

そう気づいている



自由詩 やみを抱き合う Copyright かんな 2009-11-10 22:39:05
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