家族の風景
伊那 果

 家族を思う言葉は
 どうしようもないくらい陳腐

 体だけには気をつけて
 無理をしないで
 母からの電話の結び

 遠く離れてみると
 ありがたさに気づきました
 初めてのひとり暮らしのつぶやき

 何もなくてもいいから
 生きていてほしい
 病床の夫への願い

 幸せの形は似通っている、と
 どこかの哲学者がいっていた

 似通った中の一人であることを
 かみしめて今日も
 ラッシュにもまれる



自由詩 家族の風景 Copyright 伊那 果 2009-11-10 21:20:01
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