水槽
もも うさぎ

夜の階段を下りて
一階はとっくに海に沈んでいったので
その、密やかな貝を避けながら
水の中につま先をいれる

どこまでも透明な
水晶を重ねて束ねて作った
深海は 魚を飲み込む


あなたを捜しながら
どこともない 海の中を
鉛筆立ての中を 洗面台に住む亀の裏を
覗きこむのだ


泳げない夜のうさぎたちが
浮かぶグラスに泡をたくさん溜めて

酔いたい 、と
集う。 彼らはとても 静かで賢い。


例えばこうやって 幾つもの暗闇を漕ぎ
舟はいつか あの祭壇に辿り着くのか


音はしずむ
あの頃の亡霊たちは どこへいったのか



水にとけてしまった砂糖壺の奥深くに
今でも あなたは眠っている













自由詩 水槽 Copyright もも うさぎ 2009-11-06 14:17:28
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