教育実習
ゆうさく

き、らり。日光がいずこかわからなくて、確か机の上を滑って行方不明

手を伸ばした黒板がミシミシと音を立て、聞こえないファルセットが孤独に充満している。

カーマインの眼どもが私を見つめ、それにおぼれる私を見つめる、窓の先の、ゆめ

3階からこぼれおちてく希望を、誰も観察はしなくて、激しくなった鼓動だけが、消しカスをゆらす

こどもたちは夕日のできる場所を鉛筆で探す。私はその遊びをいつしか忘れた、壊された

こどもたちは得体の知れない葉が自分からこぼれてゆくが、それに気付かずに、繭(まゆ)を美しくねっていく。ぱりぱり、といやらしく音を出し、完成型に近づける、ぱりぱり

まだ乾ききっていないぞうきんが、時間をしめらす
こどもたちの吐いた溜め息に、私はよろける

私の、まだ濡れたままの心に、ゆっくりチョークが走っていく


自由詩 教育実習 Copyright ゆうさく 2009-11-05 02:33:14
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