レッドキング(怪獣詩集)
角田寿星


レッドキングは
強い
強かった
んじゃないかな
でもひょっとして いやマジで強い
と思うよ 多分

ラーメン屋のカウンター席でチャーシュー3枚を入れ
るべきか否か、その抗いがたき自己肯定や食欲や財布
のヒモや高カロリーの狭間にて迷走と逡巡をくり返す
がごとく、かといって辺りをゆるりと遠望する余裕な
どなく、地面にのたくったヘビにもウンコにも怖じず
雨にも風にも世間のシロイメにも負けずに、馬鹿が戦
車で行き逝きてたどり着いたいわゆるひとつの。

小さなピグモンはプチチと潰しちゃった
チャンドラーの翼を引きちぎった
ドラコもこてんぱんにしたぞ
ウルトラマンには
首投げ一本 あわれレッドキング
あっさりと死んじゃった

レッドキングは
かっこいいから強い
理由はいらない

名対決に名勝負なしとは昔人はよくぞ言った、一瞬の
立ち会いですべては決まる、巷ではお好み焼ともんじ
ゃ焼の名勝負数え唄とか、アメリカとイラクが砂漠で
じゃんけんぴょんだとか、切実なまでのとめどない喧
噪がぼくの心をとらえて放さない、暴れるのは怪獣の
責務だ破壊するのは怪獣のゲノムだ、思想も宗教も悪
意もプライドも王楽浄土もヘチマもミロのトーナスも
ありゃしねえ、負けるケンカは三十六計、どっかにウ
ルトラマンはいないかなあ、どっかにウルトラマンは
いないかなあったら!

ああ
レッドキングよ ただ一途に
ひとすじの煙が。


自由詩 レッドキング(怪獣詩集) Copyright 角田寿星 2004-09-17 00:18:42
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