見えない蝶はあなたの肩でキスマークになって…
ひとなつ

もう死んでも悔いはないのです。
潮風にさらされて、黒かった羽は太陽の七色の脱色で冷血を染めたと言います。
昔はきれいだったとも言います。
あなたに逢いたかったといいます。
でも本当のことなのです。
信じてあげてください。
宛のない、ながい旅の思い出はまだまだたくさんあるはずです。
聞いてあげて下さい。
答えてあげて下さい。
それでもし蝶がおしゃべりに疲れてしまったら
そのときは眠らせてあげて欲しいのです。

蝶はもうどこにも行きたくない繭の気持ちなのです。

あなたのもとで、

羽やすめ

暗幕の闇に陽が射して

卵がかえったあの日のような

生まれたての気分…


自由詩 見えない蝶はあなたの肩でキスマークになって… Copyright ひとなつ 2009-10-31 00:04:40
notebook Home 戻る