赤い落日に染まる頃。
おっぱでちゅっぱ。

『葉落ち』

空間がのどかに広がる遠浅。
という夏は終わらないまま、
折り目のきっちりした季節。
ではないから、いじけないように、
逃げ込まないように四方を立てました。
無意識の言葉を、泣きじゃくり、
くしゃくしゃに笑うような子供心。

葬列に並ぶ様に立木を横に分け稲を干す作業、
無責任なスミレが頷くまでの時間、
心を追いやった。
秋の空は高くあります。

『想刻、故に』

空間ゴムシートをひろげふたつ。
木霊をね、少し離して置いてみるの。
あの、空間ゴムシートが、
のびて広がり、曲がって。
双方が近づくでしょう。

(引き合うの)

平行だった2筋の光の空路が、
過ぎる頃には。
直進は、曲がりに沿って接近する。
それが、心と身体の経線。
ね。あたしの精神の経度。
ねえ、あたしの居場所の経度。
北極圏の天上まで、
飛ばした先には衝突するしかないのです。

『背中の樹海』

散らばる残骸の下、
海を融解させたのが、
冷酷に逆さ。吊るされたままの、
あれがクジラさん。
あの子は、融解する氷の中に居た。
半年もかけて、中心。
飛砂の渦中から、出てきたのです。
(本当は、葬式の準備でもしようか迷っていたんだ)
自分の身を焼いてまで、溶かすのです。

海、口惜しみ泣きながら、
素足の指を揉んでは、
馬鹿な人。と、呟き、
丸くなり、幾日か貼りついた神無月。
 

たいおん、なんてもの。
いらなくなってしまえ。
あたたかさ、なんて、
やさしさ。
いらない。


『澪』


亡くしてから気がつく事がありながら、
思い出を買いました。
あたしが名前をきちんと覚えた数少ない世界で。
白夜の沈まない太陽を凍えた大陸に反射させ、
我が身を五秒おきの灯台回転光としたなら、
ここが居場所。
でもね、引き合うのだもの。
だから此処には長く居座れない。
陽光の下。
巡礼の様に精神が瓦礫の中で動き始める。
クジラさん、あなたの名前です。

(ぷらん。くとん)

融雪の中にも生命はあるのですから。


自由詩 赤い落日に染まる頃。 Copyright おっぱでちゅっぱ。 2009-10-29 08:28:17
notebook Home 戻る  過去 未来