Roughly Friday
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そして引き続き何かと落ち着かない日々が続く。
忘れた頃に何かを思い出すのはオレだけじゃないらしく、
それは秋の空模様だったり怒った時のあのコの声色だったり、
いつの間にか使わなくなった色えんぴつだったりする。

古びた菜箸、優しい本棚、手付かずの漆器にピントの合っていない写真。
踏切でつかまったとたんに偶然引出しが開いたんだ。
もしも空気と空気が重なる隙間を覗いたことがあるならば、きっとキミも知っているはずだよな。
たとえば書きかけの歌が突然絵を描くようにはしゃいでみたり、
誰に話したって信じてもらえないような事が起こってみたり。
まあそんなことを繰り返しながら秋色に染まっていく町並みをめくっている。

どうしてと聞かれても、何て答えりゃいいのかなんて考えたくもない時がある。
秘密を打ち明けるには勇気よりもタイミングが大事だろ?
だけど本当はつまらない理由を話したって何一つ面白くならないからなんだよな。
仕方がないから1日1コだけやりゃイイやってコトにして残りの時間は思う存分遊びほうけてしまおうかと。

暗がりに吸い寄せられるように胡散臭い夜に胡散臭い人に胡散臭い店へ連れて行ってもらった。
そこではヤハリ胡散臭い人々が胡散臭い話で盛り上がっていて、そして誰もが素顔を隠していた。
夜になると自信を取り戻すタイプの人たち。
オレはキライじゃないけれど、探ってもいない秘密を大事そうに抱えるようなマネはしたくないんだよな。
それにオレはカワイイってだけで簡単に落ちるけど、カワイイってだけで続くほどオレは簡単ではないのですよ。
なんてコト言ってみたってトボトボ歩いて帰ることに変わりはねえんだけどさ。

Roughly Friday


散文(批評随筆小説等) Roughly Friday Copyright BOOKEND 2009-10-28 16:01:48
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