属性
umineko

リストバンドを、している。認識のため。
たとえ裸になっても。私の腕に残るもの。

入院生活で、一番変わったことと言えば、そこか。
たとえば服を捨て、カードを捨て、携帯を捨てたところで。

私は私と認識される。
望みもしないのに。



あなたが記憶を失ったのは。
もっともっと白い廊下の。ずっと奥にあるフロア。
床も、窓も、だれかの声も。
みんなみんなフラットな場所。

目覚めたあなたは。子供の瞳で。
平等に私をみる。平等に世界をみる。
その瞬間。私は気づく。
あなたには属性がない。あなたはどこにも属さない。

あれから何年か経ち、あなたは帰る。
属性を得て、あなたの場所へ。
あなたは覚えているのだろうか。
私との時間。私との距離。



あなたは。無垢の私を、認識できるだろうか。
リストバンドを捨てた私を。

あるいは。
バッグや髪型で。

私を名前で呼ぶのだろうか。
 
 


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自由詩 属性 Copyright umineko 2009-10-24 12:00:08
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