應王山
1486 106

應王山へと続く洞窟は
真っ暗闇で何も見えない
何かが頭にぶつかった
大量のコウモリの群れだ
一気に肩に乗って襲い掛かってきた
二人のうち一人はロボットだから平気だった

洞窟を抜け 空飛ぶ機械の電池が尽きる頃
應王山の頂上へ到着した
切り立った景色がどこまでも続いていて
まるで人生の縮図みたいだねってはしゃいでいた

帰りは坂を下りてあっという間だった
麓の団地の公園にいる人に話し掛けた
「僕達洞窟の方からやって来たんですよ」
団地に住む三好さんは激怒した
「あそこの洞窟は立入禁止だって知らないの
 吸血コウモリが人を襲うから危ないんだよ」

「三好さんは数日前に奥さんを亡くしたばかりだった
 一体三好さんに何があったのか」
そんなコメントでVTRは終わっていた
スタジオに招かれた三好さんは
悔しさのあまり体を震わせながら泣いていた
パネラーの西園寺談はお構いなしに話を続けていた


自由詩 應王山 Copyright 1486 106 2009-10-24 05:10:36
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世にも奇妙な夢物語