不眠

ふと口からもれた声は
どんな言葉のはじまりでもなく
そのまま枕にどさりと落ちた

わからないのは
今日のことと明日のことだ
そのあいだに佇めない弱さで
布団にたおれこむ
それさえひとりではできない

ずれないように合わせてくれ
全身を
なにものこさない今日のため
なにもえられない明日のため

こんなことしかできないから
だからいやなんだ夜は
こんなことでもしなかったら
朝はなおさらいやなんだ

続きを思いだそうとするように
なんどもなんども短い声を

たぶんそれは
眠れないひとの為に作られた
みじかい
おぼえやすい
歌だったのに


自由詩 不眠 Copyright  2009-10-20 23:29:55
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