冬眠
三森 攣

暗い窓の外に雪が降る
雪の色は灯りに映えて色を返す
窓を隔ててそれは揺らめきながら私の前を過ぎ
消えていく
落ちたかどうかはわからない
地面は窓の枠から遥か遠く離れたずっと下

きっと私はそれらの雪を全て知っている
今は空から降りてきただけ
でもそれより遠い昔には
それはかつてはずっと
私と共にあったもの達
見慣れたもの達
これから降るはずの雪さえ懐かしい

記憶に残るその姿が、窓の向こうで灯りに照らされる瞬間に
頭の中に流れる懐かしい旋律を模索し続ける
いつの日か己に課した、過去からの宿題

雪を照らしている灯りは紛れもなく
私が居るこちらにあるもの
きっと私が動けないでいるのもまた、その灯りのせい

灯りの下で私は一人、サナギになる

灯りが消え、窓の外に雪を見失う頃
きっと私は羽ばたくだろう
再び雪を見るために
頭の中の旋律を完成させるために

灯りの下で私は一人、夢を見る


自由詩 冬眠 Copyright 三森 攣 2009-10-20 01:43:06
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