順風
霜天

人は、降っていきますが
この風はいつも背中にあった気がします
開いた傘だけで飛び出していくことは
難しいこと、と形作られて
それでも
降っていった人たちの行方まで
答えてはくれないのかもしれません


この風はいつも背中にあった気がします
追風は冷たいばかりではなく
いつか
かたちになれなくなった人たちに声をかけて
ゼロと、ほんの少しだけ残った景色との向こう側で
詰まる呼吸を繰り返しながら
私たちは、降っていくのです



背中の落下傘を開きましょうか
骨組みだけの傘を咲かせましょうか
手をかざしたその先、いっぱいに
子供心に信じた景色があると仮定して



椅子にまたがり
腕を広げて
追風は常に
掌いっぱいに、零れて


自由詩 順風 Copyright 霜天 2009-10-18 21:30:45
notebook Home 戻る