生姜トランスペアレント
サトタロ

年老いた魔女の許にクロネコがやってきた
魔女が乾いた血で拇印して届けものを受けとると
それは空の寿司桶だった
いやよく見ると空ではなく
透けるほど薄く切られたガリが貼りついていた
魔女は見落としかけたガリを慎重に菜箸でつまみ上げた
吹けば飛びそうなほど儚げなガリの薄さに確かな技術を感じ
魔女はガリを目に張り付けた
ガリ越しの世界は
不思議色ハピネス


自由詩 生姜トランスペアレント Copyright サトタロ 2009-10-17 03:15:45
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