テシノ

空気が薄かったのだろうか

衝撃はいかなる抵抗を受ける事もなく私の身に届いた
不意の一撃に驚き振り返って
第二波を正面で受け止める
滑稽な私がまるで喜劇映画のように
白黒無声フィルムの中を転がっていくのが見える

指をさして
ああ ほらあれが私
私の出番 と
話しかけようとしてふとやめる
君はものすごく遠くの方で
痛ましげな顔でこちらを見ていた
面白く演じすぎたのかしら
何をしているの泣かないで
演出家の君

私は大丈夫と呟く
今のは嘘と呟く
大丈夫は嘘
嘘だよ大丈夫
今のが嘘
嘘、嘘、大丈夫
大丈夫、嘘だよ嘘
さてどれが嘘?

嘘で大丈夫だよ
君がそう望む


自由詩Copyright テシノ 2009-10-15 20:15:34
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