「泥色の陽溜まり」
Leaf





群れからはぐれた独りぼっちのちっちゃな猿を見たんだろう

無花果いちじくの果肉を齧る時、血の匂いを懐かしく想えばいい

もう既に朽ち果てた枯れ葉が寄せる路側帯の吹き溜まり

あの場所にもう一度行ってみたい

それがどんな事かと無性に掻き毟りたくなる衝動に駆られ

檻の内側でソファに腰掛ける熊猫パンダに似た気持ちで

顰め面、濁った朝日を浴びたら

そこは赤茶色の陽溜まり

でも沈丁花の花咲く湖畔の傍を歩く人たちの

優しげな笑顔にそれとなく支えられているんだね


**

群れから逸れた独りぼっちのちっちゃな猿を見たんだろう

アーミーショップの二階の窓から手を振っている

人混みに紛れてもサラマンダーみたく上空で

点で照準を合わせるスナイパーに同情してみたくなる

あの場所にもう一度行ってみたい

それがどんな事かと無性に掻き毟りたくなる衝動に駆られ

赤紫色の人溜まりに見えるサングラスの気持ちで

くすんだ西日にすらそっぽ向かれたら

それはもう泥色の陽溜まり

でも窓に揺れてしゃがんだ太陽の欠けた頬を撫でる人たちの

優しげな笑顔にさり気なく支えられているんだね





自由詩 「泥色の陽溜まり」 Copyright Leaf 2009-10-13 20:05:35
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