道化/◇◆◇◆の秋
月乃助


空色にそまる
秋の天蓋の幕をあければ
プラタナスの黄葉の並木
衣擦れの人影

―――――何をかなしんでおるのでしょう。
何を?ばかな 愚かな道化に何がわかるのです。
わかるるかどうか、おっしゃってみれば 確かめられるかも。
それならば、申しましょう。秋の枯れ葉の落ちるのがさびしいといったら、
それは、それは、またなんと愚かな、
おまえに愚かと言われる筋合いは もちようもないぞ。
それでは、こちらからおききいたしましょう。
枯れ葉たちが悲しいのはなぜでありますか?
それは、死に行くものたちのあわれということ ほらご覧、
確かに、確かにされど…


小さな道化のまとわりつく、
それは、賢きものか、愚かなものか ◇◆◇◆
秋の導きの、

でも、なんだというのか、黄色に色づくあの樹たちの悲しさ。
それでは、あのものたちは夏を楽しみはならなかったと。
いいえ、浅緑の葉はどれも神々しいほどに、輝いていたもの
それならばなぜに悲しむというのです、
だから、今はそれが一枚一枚とその命を削るように落ちていく。
されど、あのものたちは夏を、我らをも楽しませてくれた、
そう、それは確かに、本当に幸せをわけてくれた。


どの木もそ知らぬ顔は、
じっと耳をすます  □■□■
幕間をまつ黄の出で立ち

ならば、枯れ落ちたら、どこへと行くのでしょうか、
決まっています、枯れ葉といえども天国に召されるもの。
さてさて、それならば何を悲しむことがあるというのでしょうや。
何をとは?
あのものたちは、天国に向かうものたち、そうおっしゃたのでは、
…そう、そうなのですね、天国への…おまえは、
ええ、私はただの道化でござりまする。
そう、どうやら愚かな道化ではないのですね。
さてさて、それは、またのお楽しみに それでは、のちほど、
そう、それでは、楽しみにしていますから――――――――


人のもの思いなど
道化のたわごと ◇◆◇◆
次の幕には、忘れ去られる


自由詩 道化/◇◆◇◆の秋 Copyright 月乃助 2009-10-13 01:38:24
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