滋賀より京都そして小浜へ
生田 稔
土曜日のドライブに出る始まりはベートーベンのカーステレオ
川の辺の野はさみどりに広ごりてやや曇りたる秋の真昼に
車窓より心地よく吹く風ととも車は走る小浜市へと
山際に黒い雲あり陽のかげるかなたの山に向かい行く道
はや京都大原あたり過ぎて行く小休止しておにぎりを食ぶ
雲去りて陽はポカポカと背のぬくきベンチの上の吾ら三人
桃色のコスモス咲きて雲間より陽の光さす木々のかたわら
絵をば描く二人の婦人水彩の紙を広げて風景があり
仁和寺のバス停あたり二人して寄り添う姿外人夫婦
北山の杉林行くわれらが車小浜まで90キロ
緑濃く黄葉混じりたる北山の谷間をめぐる景は良きかな
杉杉杉数多の数の木々重なり圧巻なり倭人の国よ
里に入り後田に煙立ちており夕日輝く北山よ
京北のエホバの証人会館に行き当たりて暫し留まる
由良川という名に覚えある川を渡りて小浜は近し
やはり杉両側に立つ谷にしぶきをたつる白き流れを
夕暮て白鷺一羽舞ひ飛びて晩秋の山川も流るる
夕暮の湖辺を行けば秋深くはたはたはたと風吹きわたる