白い部屋
ミツバチ

閉ざされた白い部屋
唯一の窓から
見える景色は極彩色で
街からは熱気が漂う

医者からは
外へは出られないと告げられた
私はこの白い部屋で
一生を終える
外はあんなに鮮やかで楽しそうなのに
日々思い焦がれるばかり

今日は一段と
窓の外は賑やかで
お祭りをしてるみたい
「いいな
私も行きたいな」
部屋から出ることは
出来ないけど
華やかな音楽に
自然と心が騒ぐ

窓から身を乗り出して
街を見ていた私を
みかねて小鳥が
声をかけた
「行こうよ」
「でも出られないの」
「少しだけなら大丈夫だよ
さあ早く!終わっちゃうよ!」
小鳥の誘いに負けて
少しだけだと
窓に手をかけた

カーテンが風に揺れる
白い部屋
小鳥に手を引かれた私は
お祭りの真ん中で
心から楽しく
踊っていた


自由詩 白い部屋 Copyright ミツバチ 2009-10-12 19:06:32
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