四行詩四態 <9>
nonya
「妖」
熟れた日常を引き剥がし
馴染んだ名前を脱ぎ捨てて
あなたの熱は儚く溶けた
残り香だけを朝に置き忘れて
「怪」
仄暗い四辻を右へ折れた時
背骨に宿った青白い爪の感触
心の鬼を目覚めさせないように
慄きながらコンビニを目指す
「変」
変な音にあずきとぎを聞いたことも
変な風にかまいたちを感じたことも
変な光にきつねびを見たことも
変な人と街は忘れたことにしている
「化」
昨日と今日の境目に
きっぱりと紅をひいた君は
未練の尻尾も残さずに
明日の青空に化けた
自由詩
四行詩四態 <9>
Copyright
nonya
2009-10-12 12:36:36