此の夏は何時もよりも暑い
有邑空玖

終わらない夏に迷い込んだ

遠ざかる海の青と君までの距離と

どうしても掴めない明日への道標みちしるべ

灰色の街は誰も居ないよ

壁の落書き程度の罪と罰

遊泳区域の檻から抜け出した金魚



額はもう汗だくで

歩き続けても堤防は途切れない

砂を噛んで海水を口に含んでも

連れていってはくれないから



涙だけは海に還ると信じて居る



此の夏は何時もよりも数倍暑く

永い気がした

眩暈と覚醒の繰り返し

誰も居ない灰色の街で

書きなぐる罪と罰

永い夏



もう 何処へも行けないよ

君までの距離は開くばかり



自由詩 此の夏は何時もよりも暑い Copyright 有邑空玖 2004-09-14 22:22:17
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