ホームグラウンド
中原 那由多
在り合わせにかえって思いやりを感じる
わざわざ捻り出さなくても
無ければそれで誰も責めやしないのに
お節介なのは今に始まったことではないので
いつもの舌打ちに心を込めた
昼間の月を見つけたら
星も探すんだと言って聞かなかった
諦めさせようとはせず
ただ黙って見ていたのは
壁にぶつかることの必要性から
逃げないようにするためだった
不意打ちの一言に落胆しながら
反抗への怒りで相殺した
気にくわないなら無視すればいいのに
簡単にそうできないのは
同じ人間だからだろうか
遠くの会話を一つ掴んで
光栄だと笑えばまた橋を渡ることができ
軽蔑だとぼやけば遠回りもまた楽しい
大胆にくしゃみは反響していたが
大した噂は、聞いてはいない