チョコレートフレイバー
鈴木陽一レモン
黒猫は
三日月の
欠けた部分を
見つけてしまった
その日から
黒猫は
黒猫では
なくなった
気がする
自分で
はっきりと
感じる
紀元前 紀元後
くらいな 違い
大きな違い が
感じられるんだ
黒猫には。
満月を、食べちゃった。
月光が、影を隠しちゃった。
「やだ… 汚れのない愛って…?」
三日月の
欠けた部分を
見つけてしまった
隠して、しまった
その日から、黒猫は
黒猫ではなくなったんだろうな
存在の猫
救いの灯りは
いくらでもあるのだ
たとえば
工場(こうば)の
chocolate flavor
哲学者の顔をした
吠えて、サルが
見上げた空に
欠けた満月
神々しい
狂う鳥
猫
必死で
ぼくらは
放り込むよ
ディジタルの
キャパシティー
埋め尽くすまで…
都会のナンバープレートを、
片っ端から全部、
満腹になるまで全、部
吸い尽くしていく
必死で
探す
けれど
見つかりっこない
ぼくら
全員
かわいそうな恋人達