parasite joker
蒼木りん

アスファルトがまた濡れはじめる
重ね着が正解の外出
こんなに寒いのに
リビングのサッシを開け放して
ひとりで焦って暑がっている
私の嫌いなひと
ノイズでしかない声に
頭痛がする
呼び止められないように早く
車に乗り込んで出かける


もう夏じゃないんです
十月なんですよ


無性に腹が立つ
あなたの
息子がいるときだけ
強気で喋らないで
邪魔だから
家事をやってるときに
そばに来て思い付きをやらないで
あなたが笑えるときに
私は笑えない
ありがとうなんて言いたくない
ごめんなさいと言いたくない
同じことはしたくない
真似されたくない
あなたの顔を見たくない
私も見られたくない
自分可愛さの根性が嫌い
あなたの全部が嫌い
私の親じゃないもの


はっきり言う
そばに来ないで


着るものも買える
食べるものもなんとかある
住むところ寝るところ
自分の部屋とテレビ
使ってない新品のラジカセ
あるでしょう
洗濯もできる
あなたの注文どうり
何種類もの薬をくれる病院も行ける
ひとに縋って
ひとの血を吸って生きてるくせに
びくびくと顔色と言葉を気にして
大人気ない不満と喧嘩を売る
私はそんなつまらないものを
買う気はない
頭に一本
角つけた邪鬼
あなたの姿


これから先は
立ち入り禁止


私の朝顔を
枯らしてしまったのは誰
あんなに手を伸ばしていたのに
生きていたのに
朝早く
青い空に
いく筋もの雲の道
金木犀がまだ
私を待っていたかのように
香ることに感謝する






自由詩 parasite joker Copyright 蒼木りん 2009-10-08 21:49:13
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