秋▼
月乃助



秋、なのですね

久しぶりにみる陽の
海峡の水の色は、
遊び心を誘った紺碧から
秘密をとりもどし/もどらされた ―◆■□
群青色ににぶく一変していました。

夏を泳いだ娘の
瞳の色がうっすらと
大人の翳をますように、 
コスモスの花の 整然さが
乱暴なケオスをやり過ごし
覆いつくしては、【then】
小さな秩序をきずきあげるように、

 みまがうことなく
 空を水平に区切った海は、
 湛えられた水の果てしなさを
 取り返していました。

海鳥が水の上を飛びさりながら
 水底の魚のにおいを かいだりしています

光におどる波の
数知れぬ 乱舞の足々
その下によこたわる
愚鈍なほどに 清々とひろがる 
海峡は、白く
風を子のように
はらんでいます。


    れ
 葉に
ひゅぅーうううううううううう ううううう ゝゝゝ
びゅぅぅぅぅぅぅぅ ぅぅううう
 海風がいっそう いざなわれ
  道を急ぎ足に過ぎていく
   もうすこししたら、
    それもまた
    冬の長雨に
  朽ち葉となるのを
 つい わすれたように

今日ばかりは 季節がまっすぐに
―――――――――おとしてくれる▼
陽光を 体にうけとめることも
むずかしくないのですから、

冬がくる前に もうすこし

心をあたためることも

できるのかもしれません。







自由詩 秋▼ Copyright 月乃助 2009-10-08 07:37:54
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