僕の音
キムラタツオ

鳥を探して
走り続ける

ごおごおがつがつと
びくびくがるがると
僕の体の音が聞こえてくる
耳の奥で
耳の奥で
目に見えない僕の音
個性とかアイデンなんとかとか
アプリオリとかDNAとか
そんな下らないものには
関係ない僕の音だ
表層でない
奥深くから
聞こえる僕
もっともっと走ろう
巨大になる僕の音
息の音 血の音
息の音 血の音 鼓動の音
息の音 血の音 嵐の音 滝の音 爆発の音
銃の音。虐殺の音。悲鳴、慟哭、懇願、
細胞 血 僕!!!!!!
もっともっっっっ











っっと走り続けると、

僕の彼方から
鳥の鳴き声が聞こえる
僕が探していたあの幾千の鳥たちだ
喧しく囀りかえす
幾千の嘴
幾億の羽
僕の中に鳥がいる

それは僕から世界に落ちる
鳥たちの囀り
僕の中は
世界より高い
鳥は空から堕ちるのではない
鳥は僕から堕ちていくのだ




走り続け
走り続け
僕は鳥の血の音を
手に入れる


自由詩 僕の音 Copyright キムラタツオ 2009-10-07 22:53:45
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