白河から
……とある蛙

早朝
タイヤチェーンの着脱場を通過
車は
白河から羽鳥湖高原へ疾走する。

すれ違う車両はなく
道路上には数羽のカラスが
カラスはよく肥え
このあたりのもの生りの良さを示す。

態度は都会のカラスと変わらず
堂々としたものだ。
脇を通っても微動だにしない
そのふてぶてしさ

カラスは日本の空の王者かもしれん。

朝靄を通して
朝日が雑木林を照らす。
雑木林の木漏れ日がようやく
道を照らし、
それを頼りに
山道を蛇行すること一〇分
羽鳥湖高原は霧に包まれていた。

すぐさま下りに入るあたりに
吊り橋一基が遠方に見える。

湖畔沿いを走行すると
霧の羽鳥湖に
小さな島影が
ぼーっと浮かび上がっている。
少し寝不足で現実か幻かなど
と思う間もなく道は続く

湖畔沿いを過ぎ
いよいよ会津高原
と思われるあたりで
霧が晴れる。

明るくなったのだが
右手 遠方の
大戸岳の中腹に
薄ぼんやりとした
上澄みのような霧の白い腹帯

はっとする。
ずっと道に纏わりついていた
霧がその帯の真ん中で
ニヤッと笑っていた。

よくきらったなし(ようきたな) っと


自由詩 白河から Copyright ……とある蛙 2009-10-07 21:51:34
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