[母国心]
東雲 李葉

満員電車に揺られるたびなんで人間は増え続けるのかなって思う。
だけど日本人は減ってるらしいからそれはそれでおあいこなのかな。
家の近くのコンビニではアラムさんがレジを打つ。
片言混じりの日本語で「アリガトウゴザイマス」と言ってくれる。
そんな人ばかりなら日本人が減ってもいいかも知れない。
だけども板前さんはやっぱり日本人がいいなぁ。



学校っていろんな人がいる。
けれどお昼ご飯を食べるのはなぜかいつも同じ友達。
実はパンも昨日と同じ。
これおいしいんだよ、って、あれ、前にも言ったっけ?
なんか同じ話ばかりしてる気がするね。
うん、このパンとってもおいしいんだよ。



外人さんもお寿司を食べる。おっかなびっくりしゃこをつつく。
ホールにいると当然応対するわけだけど残念ながら私、生粋の日本人なのです。
とか言って、実は日本語だって怪しいくせに。
それにしても単語だけで通じるたびEnglishの偉大さを知る。
まるで一つの世界に住んでるみたい。
失敬、うぃーあーざちるどれん。



満員電車に揺られるたびなんで人間は増え続けるのかなって思う。
だけど日本人は減ってるらしいからそれはそれでおあいこなのかな。
日本人がいなくなったら誰とお昼を食べようか。
私のおすすめのメロンパンをみんなも食べてくれるだろうか。
アラムさんはもうにっこり笑ってくれないかな。
今度は私がお寿司屋さんで「Thank you」って笑わなきゃ。


自由詩 [母国心] Copyright 東雲 李葉 2009-10-06 00:24:44
notebook Home 戻る