緩やかな牢獄
森の猫

25年 
この 家庭という
いっけん しあわせな
牢獄につながれている

しあわせだったのは
10年くらい

つながれていることに
気づいたのは5年前

あたしが
ウツを発症したときに
気づくべぎだった

あのとき
夫はあたしを見捨てた

それは
あのひとなりの
家庭の守り方かもしれないけど

伴侶の同伴を求める主治医に、
自分は 行かないと言ってくれ
自分まで病人にされてしまうから。
これから 病気のことは
ひとりで解決してくれと

まだ あたしは
そのときの のろのろとした頭では
考える余地もなく
支持どおりに動いた

幼子を抱えて
毎月 通院した

親切な病院のひとたちが
待ちくたびれて
眠ってしまう 娘のめんどうを
みてくれた

自分がウツという病気だと認識し
少しは 気が落ち着いたが

心の空虚さは晴れなかった
理由も無く 涙が流れた

心の焦点は定まらず
やることは宙をつかむようだった



それから
12年のときがたった

カウンセリングを受け
ひどい 落ち込みはなくなった
涙は出ない

だが 自分の心のあり方を
認識して確認することがかたくなると

夫というものが
ただの 給料を運んでくれる存在
だけとう事実から脱出できない

愛を求めて
暮らし始めた結果がこれか

もちろん子供達との関係は
良好だ


あたしは
ただひとりのひとの
愛が欲しい

あたしは牢獄から
ゆるゆると
逃げ出そうとしている


自由詩 緩やかな牢獄 Copyright 森の猫 2009-10-05 19:50:35
notebook Home