「夢を見た」
広川 孝治

夢を見た

久しぶりの夢だった

ただ泥のように眠り

鉛のように沈み込む身体を布団からひきはがす朝

それが

ぱちりと目が開き

がばと起き上がり

まわりを見まわし

夢であったことを確認

現実の音と色を取り戻すのに暫しの間

がしがしと頭を掻きながら

目覚ましの音なしで起きてきた僕を見て

軽い驚きを見せる妻がキッチンから声をかける

おはようと返す自分の声に少しびっくり

いつもの眠たさがまとわりついた錆びた声ではなく

つるんと通る磨き上げられた声

お湯の沸く音を背に

洗面台の鏡をのぞくと

不精髭に囲まれ笑みを含んだ顔

いつもより5歳は若く見える

ああ

夢って

こんなに

力をくれるんだ

僕はうんっと伸びをして

ひげを剃り

湯気の立った食卓へ向かう

今日も一日が始まる










え?

夢の内容?





内緒^^


自由詩 「夢を見た」 Copyright 広川 孝治 2009-10-04 23:13:38
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