十六夜
橘祐介

思いのすべてを投げ出して

あなたに抱かれたあの日の夜

微笑みの影に気づかないふりして

瞳をそらしながら目を閉じた


空には十六夜の月

満月は、あまり好きではないと

あなたは言った

一番美しいけれど、悲しすぎるから


遠くを見つめていたあなた

その理由を知りたくもなかった

何もできないことは分かっていたから


十六夜の朧な月に抱かれる二人

朝がこなければいい

他に、もう何もいらないから…



自由詩 十六夜 Copyright 橘祐介 2009-10-02 11:25:32
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