目をみる。
かのこ

温度のないその白い壁に
そっと寄り添い、耳と頬をくっつける。
両手のひらも、くっつける。
胸も、おなかも、くっつける。

僕はこわくて、
とてもこわくて、
目を瞑り、君の目をみる。


壁のむこうから、届く、
くっつけた耳で
辛うじてとらえた言葉の為に
僕は今日も息をする。

僕は厭がって
はげしく厭がって、
目を瞑り、君の目をみる。

でも僕ははなさないから、
君は今日も息をする。


白い壁に、殴り書くこころが
君に気付かれぬように、
壁に寄り添い、
むこう側に君がずっといてくれますように、
幾つもの言葉をつむいでは、
目を瞑り、君の目をみる。

夢を見ずに、君の目をみる、
目を瞑り。



自由詩 目をみる。 Copyright かのこ 2004-09-13 20:07:02
notebook Home 戻る  過去 未来