行為の間、五線譜の隙間、沈黙に似た祈り
うめぜき

やがて消える
笑顔や
ことばや
想いや
そういうものをぜんぶ絡めて


君と僕とは
美しく出来ている


そういつか
やがて消える
それが君と僕だ


それでも
さあ
触れてくれないか
そのくちびるで
僕たちを結んでくれ
唇のやわらかさと温度を
君よ 忘れないでくれ
肌が吸い寄せあう僕らよ
互いに吸い尽くそうとする僕らよ
互いの温もりの中で決して拭えぬ孤独よ
行為の間、五線譜の隙間、沈黙に似た祈りよ


君のその優しい指の
              (やがて消える)
絡まる
            (やがて消える)
互いの頬をなぞり
              (やがて消える)
唇に含み
             (やがて消える)
乳首を転がし
            (やがて忘れる)
舌先に熱を帯びて
             (やがて消える)
崩れていく
             (やがて変わる)
日常の
               (やがて無くなる)
片隅で
             (やがて消える)
やがて消える
              やがて消える
やがて消える
              やがて消える
肌と
              肌と
髪と
              指と
瞼と
              声と

やがて消える
君のことを
僕を
どうか
神様
どうか
あなた
どうか
どうかどうか



君の体は駆け抜けただろうか
僕を
僕の体は駆け抜けただろうか
君を
僕たちは
愛し合うということを出来ただろうか


やがて消える僕と君とは
まるであやとりのように美しい
一本一本の糸に通うのは
まるで陽炎のような


僕と君とだけが知っている
揺らめいてきらきらとして
それはまるで
焔立つ、祈り



















自由詩 行為の間、五線譜の隙間、沈黙に似た祈り Copyright うめぜき 2009-09-28 02:38:17
notebook Home 戻る  過去 未来