眠りを忘れるための千の疑問
熊野とろろ

さて私の性癖を口実に
不埒な連中が窓の外にうろつき始めて
早五日ほど、経過したのであるが

せめてもの願いとして私はすべての本能を忘却しようと試みている
それは無理というものだろう、しかし
それは無理というものだろう、

私は限定的な理屈を述懐することで
ここまで生き永らえてきたと云っても過言ではない
私は決して戯言を抜かす人格の持ち主ではないのだ
眠りを忘れることにした
豪快にして冷笑的に我々を縛り付ける眠りを
自然の奢りたるくそったれ、ネムリ‥

さて夕食には幾許かの国々が立ち並び、
欲という欲が幽閉されているようなペシミズムがあり、
ああ、腐り腐り腐り腐り
獰猛な猫が病弱の老体を威嚇するのです

坐っている眼の上に、サヨナラが五千本の肋骨を並べて
窮屈に勇みだって居るところをまじまじと殺伐の老眼で覗けば、
海がまがうことなく鼾をかいて眠っているではありませんか
ああ、然るべき戒心の時期に、私という反吐は
くだらない時間を過ごしてしまった
皆よ、すまない、その訳でもないが
私は金輪際眠りに落ちないように生きている


自由詩 眠りを忘れるための千の疑問 Copyright 熊野とろろ 2009-09-27 21:46:35
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