8.29-9.25
きらく

老人が残った街がゆるやかに僕を現実に引き留めてる

電車から見るだけの校舎だったのにいつから記憶になったんだ?

放射性物質の羽根で世界を羽ばたき包み愛でてやりたい

「正論で生きてます」って面倒な顔して二十歳まで生きなさい

理解した筈の悩みを繰り返し僕たちはまた生きてるらしい

こめかみに響いたものはピストルか世界が消える音だったのだ

憎しみの果ての極点も知らない僕らが愛を知ろうなんてね

「今まで」が消えてなくなる日はきっと空が青くて遠いのでしょう

年老いた蛇は欺瞞のレッテルを貼った世界をどう見てるのか

白色の光が射す間にみた夢に僕の全てをさらしてみるか

体内の電気信号、細胞の記憶、全てが消える感覚

さよならを何度も言うよ またいつか出会えるなんて思えないから

年老いたブリテンダーの煙草を9月の夜に吸っているのか

夏風邪が残ったような気分だしきっとこのままでいる気がする

内的な狂気はたぶん僕にあり君にもあって誰にでもある

僕は死を望んでいても向き合っていないんだって気付いてしまった

首を吊るためにゆるめたネクタイをまた締め戻す日が続いてる

君がいるのだから愛はあるはずだ在り方がどうかは別にしても

雨の日にみた夢なんて聞かれても覚えてないし話したくない

記憶から死への果てまでただ走るだけの列車も錆び付いている

死ぬまでの道を歩いて失った影に焦がれて何を残そう

僕たちを構成するもの光と水と酸素と多少の心

生きていく内に接点をなくして僕たちはまたそれを探そう

近未来、君の心の解釈を既にできない僕の終着


短歌 8.29-9.25 Copyright きらく 2009-09-25 22:16:20
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