お月見の夜 
服部 剛

夜の公園で座敷を広げ 
若者達は楽しげに 
互いの盃を、交わしてた。 

「あ」 

ひとりが真っ赤な顔で立ちあがり 
いつのまにか、山間に 
ひょっこり顔を出していた 
まあるい月を、指さした。 

彼等は揃って顔をあげ 
鰯になって口をあけ   
賑わっていた座敷の上に 
ひととき静寂が、訪れた。 

闇夜を照らす、あの月は 
万葉人の涙を誘い 
人のこころの鏡に映ります。 

ましろい顔の、あの月は 
ずっと遠い古代から 
今も何かを、語っています。 








自由詩 お月見の夜  Copyright 服部 剛 2009-09-15 21:12:36
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